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  ■キャブタイヤケーブルの選択  
     
  電線(導体)内に電流が流れると,導体の固有抵抗によりジュール熱が発生し,電線の温度が上昇します。電線に電流を流しすぎると発熱が大となり,電線の寿命を縮め,絶縁を痛めたときには火災や漏電,感電の原因となります。そこで電線には流すことのできる限度が決められており,この限度をそれぞれの電線の許容電流といいます。
 また,発電機と負荷を接続する場合,電線が長すぎるとジュール熱のため負荷の入力電圧(受電端電圧)が発電機出力電圧より低くなります(電圧降下という)。この電圧降下が大となると,発電機出力のロスとなるばかりでなく負荷が正常に動作しない原因となります。従って,電線の選択については許容電流と,電圧降下を考慮して選定することが必要です。
 表−2に建設現場などで一般に使用されているビニル線及びキャブタイヤケーブルについての性能を示します。また,電線の電圧降下は電線の種類や配線方法により異なりますが,目安として表−1の電圧降下の簡略計算式より求めることができます。
 
 

表−1
配線方法
電圧降下
ケーブルの断面積
備    考
単相2線式
L:ケーブルの長さ[m]
I:使用電流 [A]
A:ケーブル断面積[mm2 ]
e:電圧降下 [V]
三相3線式
(注)野外作業でエンジン発電機から長い距離を配線する場合でも,電圧降下率は最大でも6%以内とすること。
 
 

表−2 ビニル電線,キャブタイヤケーブルの性能
種   類
サイズ
仕上外径
100mでの概算重量
100mでの抵抗値
許容電流
 ビニル単線
2.0mm
2.8mm
3.2Kg
0.58Ω

31A

2.6
3.6
5.4
0.34
44
3.2
4.4
8.1
0.22
58
4.0
6.0
13.5
0.14
78
5.0
7.4
21
0.09
103
 ビニルより線
14mm2
4.8
16
0.13
84
22
6
25
0.08
112
30
6.9
32
0.06
132
38
7.8
41
0.048
153
50
9
52
0.038
179
60
10
63
0.03
206
80
11.5
82
0.023
253
100
13
103
0.018
283
キャブタイヤケーブル
 3種3芯
2.0mm
18mm
40Kg
0.98Ω
18
3.5
19.5
51
0.53
25
5.5
21
63
0.34
30
8
23
77
0.24
40
14
27
111
0.138
55
22
35
184
0.088
75
30
38
224
0.065
90
38
40
264
0.052
105
50
46
347
0.041
125
60
50
408
0.032
145
※許容電流〜周囲温度30℃,電線最高温度60℃
○ビニル線(屋外用ビニル絶縁電線:OW電線)
 単芯の電線で硬銅線または硬銅より線に対候性よいビニルを絶縁被覆したもの。
○キャブタイヤケーブル
 丈夫で水に強く建設現場で一般的に使われるものです。軟銅の「より線」を紙テープで巻き,その上をゴム混合物で被覆した電線です。
○キャブタイヤコード
 キャブタイヤケーブルと似た構造ですが,使用電圧が300V以下と決められています。

 
 
 表−3は三相誘導電動機の場合で,許容電流以内で電圧降下を10Vとした時の各電線の長さと太さの関係を示したものです。
 
 

表−3 三相誘導電動機の場合
 
電圧降下を10Vにしたとき
モータ容量
全負荷電流
起動電流
20m以下
100m
200m
500m
1.5KW( 2HP)
7.3A
48A
2.0sq
3.5sq
5.5sq
14sq
3.7 ( 5)
16.1
110
3.5
5.5
14
30
5.5 ( 7.5)
24
155
5.5
8
22
50
7.5 ( 10)
31
205
8
14
22
60
11 ( 15)
45
295
14
14
38
80
15 ( 20)
60
395
22
22
50
125
18.5 ( 25)
74
490
30
30
60
150
22 ( 30)
87
575
38
38
80
150
30 ( 40)
117
775
50
50
80
-
37 ( 50)
143
945
60
60
100
-
45 ( 60)
(175)
-
38sq×2 50sq
80
-
-
55 ( 75)
(220)
-
38sq×2 60
80
-
-
75 (100)
(300)
-
60sq×2 100
100
-
-
90 (120)
(370)
-
125
150
-
-
 
()内は概算
直入起動
3芯,右ビニル線
これ以上の大きいものは
実際配線上不適当
(注)電線の太さは最低太さを示したもので,実際はこれより太いものを使用するのが望ましい。
 
 
 
電線を選ぶ場合,電線の太さは距離に比例して太くなるので,現場などで,エンジン発電機と負荷設備の距離が大きくなるときは,エンジン発電機を負荷設備の近くに移動し短い電線を使用するなど,経済的な配慮も必要です。また,長い電線を鉄板などの上にトグロを巻いた状態で使用すると更に電圧降下が起きるのでやめた方がよい。

 

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